超弩級の面白さ!逗子史上最強のワル『球界の野良犬』愛甲猛自伝

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超弩級に面白い本に出会った。きっかけは、いつも読む本の参考にしている「HONZ」のメルマガ。

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愛甲猛さんといえば、甲子園の優勝投手で、横浜高校卒業後にドラフト1位でロッテ入団。その後、中日ドラゴンズ代打の切り札でいぶし銀の活躍をされた選手。甲子園は私の小学生のときで記憶にあり、当時はドラゴンズファンだったので(今は野球をみてない)、強く印象に残っています。

メルマガは、こう続きます。

帯には「暴走族、アンパン、失踪、暴力、野球賭博、筋肉増強剤」。野球と全く関係ない言葉が並ぶびます。頁をめくっても、「ケンカ、ドラッグ、ギャンブル、そしてドーピング。全てが野球の肥やしになると信じて、やりたいことをやってきた」。どこまで行っても野球にからみません。「絶対に肥やしにならねーだろ」って野暮な突っ込みをいれたら、担いだバッドをフルスイングされかねない展開が永遠に続きます。

もはや野球の本ではありません。野球に対する意識の高さは垣間見えるものの、努力のベクトルが完全に違う方向に行っています。約20年のプロ生活を送れたのは天性の素質なのでしょうか。

これは面白そう。そういえば、愛甲さんは逗子出身と聞いたことがあった。と思いながら、逗子図書館に行くと蔵書にありました。『球界の野良犬』を読み進めると、すぐ逗子が出てきました。

戦後の高度成長期がピークを迎え、東京五輪を2年後に控えた昭和37年。俺は神奈川県の逗子に生まれた。

両親が離婚し、母親が女手一つで息子二人を育てたとのこと。

生まれ育った逗子は海が近く、夏休みになると友だちと毎日のように海で遊んだが、俺一人だけシュノーケルを持っていなかった。

と、ここくらいまでは普通によくある有名人苦労話の自伝なのですが、中学校以降の荒くれぶりが凄まじい。

悪ガキ、と言われ始めたのも中学時代だ。(中略)あるとき、屋根裏で酒を飲んでいた同級生が先生に見つかり、万引きがバレてしまった。1学年の生徒380人中180人が万引き犯。とんでもない同級生だ。

久木中学の番長、Sの家は自宅マンションの1階で金物屋を営んでおり、常時ラッカーシンナーがあったため、ヒマになるとSの家でアンパン大会が始まる。サインは常に「口の前に握り拳」だった。

久木中学といえば、私の娘たちが通う学区です。数十年前、久中がこんなに荒れていたとは!ヒュー!!

甲子園終了後、逗子警察の一日警察署長をやる話もあったが、補導で完全にお流れ。渡辺監督が迎えに来たものの、会わす顔もなく、黙って家に帰った。

アンパンで補導された俺に対し、調書をとった女性警察官の林さんは涙を流してこう言ってくれた。
「もう一度野球やってよ!あんたは甲子園を目指さなきゃダメだよ!」

と、ホロリとくる話もあります。

が、ほとんどの内容は、ヤクザとの交流、賭け麻雀に野球賭博、派閥争い、覚せい剤、ドーピングと禁書レベルのオンパレード。ここに書くのも憚れるほどエグい。

野球の話題も、張本勲さんやカネヤンの侠気ぶりや、星野仙一監督の怒号に多くの紙面が割かれます。もはや野球の本ではない!

逗子のイチ時代を築いた愛甲先輩、凄すぎます!!

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