エントリーシートの添削をひたすらに

私のブログを見ている人は就活生ではないと思うので、就活の話しはつまんないと思うのですが、二日連続でキャリアカウンセラーをしていましたので、就活の話題を続けます。

就活本番の時期になると、カウンセラーはエントリーシート添削と模擬面接に没頭します。個人的には「私は就職どうしたらいいのでしょう?」といったアバウトな人生相談が好みなのですが、学生がESを手に列をなして待っているので、ひたすら対応します。

学生は、エントリーシートの添削で「正解」を求めます。私は「エントリーシートは学校のテストとは違うんだよ。正解なんて企業は求めていないんだよ」と諭します。

でも、間違えたくない不安が勝ってか、私の言わんとする意図を理解してくれる学生は多くない印象です。・・ノッポさん、ガンバレ。できるかな? ヤルんだよ!(下記画像は日本テレビ「人生終了クイズ」サイトより)

もってきたESに、赤を入れるつもりで添削すれば、いくらでも修正箇所を指摘できます。でも、それはあくまで私の見方であって、実際にESを判断するのは企業の採用担当者。私が正解を知っているわけではありません。また、学生が何時間もかけて完成したESを、ちゃんと読んでない企業があるのも実情です。

ESを丁寧に赤入れするほど、翌日も「エントリーシートみてください!」とやって来て、学生の正解依存度が高まる感触があります。ESは何度みてもらってもいいのですが、「最後に決めるのはあくまで自分」というのを忘れないよう。カウンセラーが添削したからといって、書類選考が通るかどうかは分かりません。

カウンセラーが指摘したことを丸呑みにする学生を見ると、「この学生はこの先、自分の意思で生きていけるのだろうか・・」と思えて、私が不安になります。

広告会社が書いた就活本にこんな文章があり、我が意を得たり!の心境でした。

「書いた自己PRを他人に見てもらう」。この行動自体はよく言われていることですが、就活のマニュアルではそれが、アドバイスをもらうための行為とされています。

広告の例で申し上げたとおり、私はアドバイスをもらうために見せているわけではありません。結果として、アドバイスを受け入れることはありますが、それは目的ではないのです。

もちろんアドバイスはありがたいし、参考になることもたくさんあります。でもアドバイスは、人によってあまりに違いすぎます。表現のディティールに関して指摘する人もいれば、そもそものコンセプトに関する指摘をする人もいます。同じ部分に関して良いという人もいれば、悪いという人もいるでしょう。

広告でも就活でも、そんなアドバイスを受けていちいち修正していたら、時間がいくらあっても足りません。また、いろんな人に個性的な表現をそぎ落とされ、「平準化」されたつまらない表現だけが残るかもしれません。

(中略)

自己PRを他人に見せるのは、「アドバイスをもらう」ためではなく、「反応を集める」ためです。なるべく、たくさんの人に自己PRを見てもらうことをオススメしますが、これを意識しておかないと、たくさんのアドバイスにいちいち混乱するだけになってしまいます。

ESで正解を求めてはいけません。みる人の見方でいくらでも変わるからです。また、もっともらしい正解を述べる学生を、企業は魅力ある人材とはみなしません。

何より、仕事の現場で「正解がないと動けない人」は、使えないヤツと見られてしまいます。正解を求める姿勢そのものを崩さなければいけない。私は、そう考えます。

なので、私のキャリアカウンセリングでは、ESを持ってきた学生に「そもそも論」をぶつけて、ちゃぶ台返しすることがよくあります。面倒くさい上司みたいだ、と思いつつ。

でも、学生が怪訝な表情を浮かべて「こいつ使えないカウンセラーだな」と一瞥されたら、「はい、すみませんでした」と真面目に添削します。また、提出〆切が近い場合はちゃぶ台返しすると可哀相なので、最低限の指摘に止めています。

正解を求める学生を批判しても仕方がありません。これは、学校教育で常に正解を求められ続けた弊害です。

社会には正解がないのに、なぜ学校では正解したかどうかで優劣をつけるのだろう。教育のあり方そのものを、ちゃぶ台返ししたい。(下記画像は「ピクシブ百科事典《ちゃぶ台返し》」より)

あれこれ書きましたが、学生に自分で考えてもらいつつ(=混乱させる結果になりがちですが)、学生の不安を解消してあげて、前に進む勇気を与えることをカウンセラーとして心がけています。

ESの添削で学生が求めているのは「カウンセラーの方に見てもらったから大丈夫」という安心感です。(加えて、保証を求めているのでしょうが、通りやすいESの書き方は伝えることできても、通る保証まではできません)

就活で何かと不安な彼女たちに、「これでOK! 大丈夫‼︎」と背中を押してあげるのが、私の務めです。・・実物の背中を押したらセクハラで一発退場です。

それはあたかも、小児科の先生が来院した子どもの病気に処方箋を出しつつ、本音で治療したいのは「パパママの心配症」というのに似ています。不安心配症に効く処方箋はないものか。

ともあれ、「大丈夫!」と励ますのは、大きな仕事です。なぜなら、

大ジョブ=Big Job!

・・今回もオチはイマイチでした。

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