山口智美・斉藤正美・荻上チキ『社会運動の戸惑い フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』

立教大学のゼミで先生から勧められた本を読み終える。

「男女共同参画」や「ジェンダーフリー」の言葉に使用に対し、2000年代に「バックラッシュ」と呼ばれる反フェミニズム運動が起きました。フェミニスト側にいる著者らが各地のバックラッシャーを訪ね、その意図や運動について丹念に聞き取り取材を重ねた力作です。

フィールドワークは山口県宇部市、千葉、宮城県都城市、福井県、富山県、埼玉県比企郡(ヌエック)と広範囲に渡り、地道な取材を積み重ねられていました。

自分たちの主張に反対である立場の人々を取材するのは、取材をする方も受ける方も気が重いことです。反対派の方々と何とか意思疎通しようとする著者の真摯な姿勢が伝わりました。

大沢真理先生、上野千鶴子先生といったジェンダー学でおなじみの先生の名前が出てきます。恥ずかしながら私は、「バックラッシュ」の言葉を本書で初めて知りました。町田市ほかで男女共同参画会議の委員を務めた経験がありながら、見識の浅さを嘆くばかりでした。

今年度からは、藤沢市で男女共同参画プラン推進協議会の委員を務めています。本書に述べられていたような過去の背景を理解しながら発言することの大事さを思いました。

「結びにかえて」の章から引用します。

さて、議論をまとめよう。これまでの分析を通じた、本書の主張は、極めてシンプルなものだ。

  • フェミニズムの運動は、中央から地方へのトップダウンで進められるべきものなのか。
  • 文化やコミュニケーション、振る舞いや内面の批評ばかりへと、フェミニズムの対象が偏っていてよいのか。
  • 貧困や暴力、差別や排除など、具体的な危機が多数ある中、「ジェンダーの危機」ばかり叫んでいてよいのか。
  • ジェンダー概念を「知っている者」から「知らない者」へと啓蒙、啓発する、そうした「キヅカセ・オシエ・ソダテル」活動にばかり偏っていてよいのか。
  • フェミニズムはこれまで以上に、実証的な分析と、実効的な活動とを行なっていく必要があるのではないか。

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