中野信子さん『ヒトは「いじめ」をやめられない』を読む運動会中止の朝

長女の運動会が雨で延期に。今週ずっと天気予報をにらみつつ、週末の予報から雨マークが消えてくれたらと思っていたのですが、残念。

そんな雨降る朝に読んだ本で、ドキッとする文章に会いました。

脳の状態からみた6月と11月は、”安心ホルモン”であるセロトニンの分泌量が変化する時期と重なります。(中略)

学校では、5〜6月や10〜11月は、運動会など大きな行事が終わった直後です。運動会や学芸会は、集団行動が多く団結が求められる行事です。そこでは、オキシトシンが高まり、ルールに従わない人や、みんなと違う動きをする人、クラスの役に立たない人が目立ちやすくなる状況を作ってしまいます。そのため、あいつは攻撃してもいいんだという口実を見つけやすくなっている状況でもあります。

この時期に標的になってしまうと、いじめは過激化しやすいため、科学的にもそういう危険な時期であることが指摘されているのだということを念頭に置き、配慮していくことが大切です。

『ヒトは「いじめ」をやめられない』は、いじめ行動について脳内ホルモンの働きによって紐解き、いじめ回避の方策を解く内容。

付箋をいっぱい貼りながら読みました。なかでも、フリーライダーに関する記述は思い当たる出来事があり、ゾクッとする思いで読みました。

社会的集団にとって最も脅威となるものは何か。それは、内部から集団そのものを破壊してしまう、「フリーライダー」の存在です。フリーライダーとは、直訳すれば「タダ乗りをする人」。要するに、「協力行動をとらない/邪魔をする人」「ズルをする人」です。

集団を維持するためには、お互いに労働や時間、物、お金、情報といった「リソース=資源」を出し合わなければなりません。だからこそ、集団において「必要とされる人」「いい人」とは、自己犠牲をいとわずに、みんなのために力を尽くせる人です。

しかし、みんなが平等にリソースを出し合っているのに、自分は協力せずに、みんなが出したリソースにタダ乗りして利益を得ようとする人、つまり「フリーライダー」がいるとどうなるでしょうか。こうしたフリーライダーを野放しにしておくと、自分が犠牲を払うことは損をしていると多くの人が考えるようになり、リソースを出さなくなります。そのことによって、集団は機能しなくなり、やがては崩壊してしまうのです。

そこで、集団を壊すリスクを回避するために、タダ乗りをしかねない人を排除する必要が出てきます。完全に排除できれば、集団の協力関係は揺るぐことなく、お互いに利得を高め、生存できる可能性も高くなります。

しかし、排除行動を行うためには、労力がかかり、リベンジされる危険もあります。それでも、集団を作り生き残るためには必要な行動でした。そのため、共同体にとって邪魔になりそうな人物を見つけた場合には、リスクを恐れずに制裁行動を起こして排除しようとする機能が脳に備えつけられた、という考え方ができるのです。

分かりやすい。というか、分かりやすすぎる解説です。

地元でいろんな頼まれごとを引き受けると、こうしたフリーライダー問題に向き合わねばならない場面も出てきて、正直ちょっと億劫な気持ちになります。これも勉強の機会、修行だと思いつつ。

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