木曜の午前は、立教大学大学院経営学研究科「人材開発・組織開発特論」を履修しています。中原淳先生の授業です。
課題図書『組織開発の探求』の各章を、学生がレポートして発表します。発表の割り振りは初回の授業で決め、今回は私が担当する回でした。
学友の伊倉さん、市川さんと三人組で発表しました。テーマは「社会構成主義とAI」です。
AIを A(zuma)I(chikawa&kura)で掛けたネタを用意したのですが、冒頭から滑るとやりづらいのでスルーしました。
授業では、中原研究室の伊倉さんが社会構成主義を、市川さんがダイアローグの醍醐味を解説されました。
私が受け持ったパートは対話セッションです。まずはアイスブレイクで、自己紹介エクササイズをしました。
これまでの授業であまり話しをしていない相手とペアを組み、自己紹介をしてもらいました。その後にお互いの姿が見えないように座り直し、聞いた内容を覚えているか、テストをしました。
今回は成績のよかった方が多かったのですが、通常は初対面同士で行う演習で、相手の話しを半分も覚えていないのが普通です。
ここで、ユリウス・カエサルの言葉を紹介しました。塩野七生さん『ローマ人の物語Ⅳ』で何度も登場する名言で、社会構成主義の考え方に通じます。
人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。
多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない。
人は自分の聞きたいようにしか聞かないし、関心のあることしか覚えようとしないもの。
偶然でしたが、この日の朝に中原先生が投稿されたブログに、同じ趣旨の内容が述べられていました。
以下、「あなたのプレゼンテーションは「聞いてもらえないこと」を「前提」にデザインされていますか?」(NAKAHARA-LAB.NETブログ2019年6月6日)より引用。
常日頃、様々な研修をしておりますと、
「大人ほど、関心のないことを、聞かない人種はいない」
「大人ほど、聞きたくないことを、如実に拒否する人種はいない」と思うからです(笑)。
関心のないことは、まったく聞いてません。
大人は、すぐにスマホをいじるし
ふんぞりかえるし、
はなくそをほじります(笑)よく大人は、子どもに
「ちゃんと話を聞きなさい」
と怒ったりしますよね。
でも、子ども同様「ちゃんと話を聞かない」のは、大人も同じです。むしろ、その如実さは、大人の方が激しいくらいだとも思います。そして、そういう「話を聞かない」ときに、講師側がやれることはあまりありません。
本エントリーで強調された、相手が聞いていないことを前提にコンテンツを作る は、私も常に意識しています。
今回も、学生が聞いていないことを前提に演習を組み立てました。具体的には、後半のペア&グループワークで「ライフライン」と「ハイポイントインタビュー」を行いました。
参加型の授業は楽しく、中原ゼミの学部生と社会人学生が和気あいあいと対話されていました。
今回の授業では、中原淳・長岡健著『ダイアローグ 対話する組織』も課題図書に指定されていました。
以下、P110-111より引用。
人は「自分のイメージ」「自分の物語」を自分だけでつくることができるわけではありません。他者への語りかけ、他者のまなざし、他者の言葉を通して「自分の物語」をつくり、ときには編み直すのが人間なのです。(中略)
このような気づきを積み重ねていくことが、「自己像を紡ぎ出す」=「自己理解を深める」ということです。だから、自己理解を深めるには、ひとりきりであれこれと思い巡らすだけでなく、「対話」を通じて、自分の考え方や価値観を他者に語ることが効果的なのです。
今回の授業で行った演習で、対話を通じて自己理解が深まることを体感してもらえたのではと思います。
ただ、限られた時間で複数の演習を行ったことで、一つひとつの対話は浅かったかもしれません。
もっと対話したいわ と感想が聞こえたような。
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