某市役所で9-17時の管理職研修。複数の部署から課長級の職員が集まりました。年度末が近づく繁忙期でもあり、仕事の調整は大変だったと思います。
私は普段、二時間程度の講演が多く、丸1日間かけた研修をする機会は年に一、二回くらいです。新卒で研修会社にいた頃は三日間コースのプログラムが通常でしたが、いまは研修で一日間あけるのも大変です。
研修のテーマは「職場の活性化」でした。
「心理的安全性」と「イクボス」をキーワードにして色々な演習を織り混ぜ、休憩を多めにとって飽きのこない研修設計にしました。最後の一時間は、お気に入りの寸劇ワークショップを行いました。
自治体の庁内研修はおしなべて反応が薄いです。しかも、課長職以上になると女性は大体1割くらいで、年代層が高めの男性が大半を占め、固く難しい雰囲気で始まるのが自治体管理職研修の常です。
そうしたなかで、アイスブレイクから始めて、公務員あるあるネタや親父ギャグを披露し、話し合いワークで全体の雰囲気を和らげる工夫をしました。最後の寸劇は、リアル感のあるシナリオで好演されたチームばかりで、よい感じで締めくくることができました。
研修が終わり、「今日も盛り上げることができた」と思った矢先、中原先生のブログでタイトルずばりの投稿があがりました。
◆研修・ワークショップ業界に蔓延する「盛り上がった信仰」!?:研修が「死語」になる日は近い!?
今日は研修、ワークショップ業界に広がる「盛り上がった信仰」のお話をしました。この問題は、実は、研修を提供する側、研修を実践する講師のサバイバルストラテジーと関係しているだけに、非常に難しい問題でもあります。研修の満足度は、いとも簡単に操作しやすいことも、この問題の深刻さに輪をかけています。
こちらのブログにあるとおり、私も研修の満足度をアテにしていません。研修直後にとるアンケートの評価は、講師の働きかけ次第で簡単に操作できるからです。
満足度を気にしたときに一番やってはいけないのは、受講者の発言を否定すること。過去にほんの数回、満足度’1’を付けられたことがあるのですが、いずれも受講者を注意したり、ネガティブフィードバックをしたケースでした。
私はアンケートに関心が薄く、感想コメントが送られても読みません。「早口で聞き取れなかった」とたまに書かれますが、それは自分でも分かっています。
でも、研修を終えて数日たってから職場に変化があった様子を、担当者や受講者本人から聞ける機会があると、うれしく感じます。
先月の中原先生のブログでは、研修のあり方を問う投稿があがっていました。
◆研修の「満足度」を問うな、研修転移を問え!?:「現場にインパクトを1ミリも及ぼさない研修」は「共犯関係」によって生み出されている!?
企業研修の目的は「学ぶこと」ではありません。
企業研修の目的は「現場でのひとびとの行動」を変え、成果につなげることです・
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・冒頭の2つのセンテンスは、人材開発の「基本中の基本」です。
そう、私も分かっているつもりではいるのです。研修が盛り上がるだけでは意味がないと。
研修で大事なのは、満足度ではなく研修転移。学んだことを現場の実践へといかに移してもらうかが、講師の腕の見せ所です。
その点、今回は最後の振り返りをじっくり行い、アクション宣言をしてもらい、プロトタイピングとして寸劇で表現する演習を行ったことで、実践につながる手応えがありました。
もっとも、この自己効力感を高める最後の仕上げ方は、まさに中原先生のいうところの「悪のマニュアル」の実践例なのでうが・・。
◆いとも簡単に「操作」できちゃう「研修の満足度」!?:研修評価アゲアゲの「悪の!?マニュアル」!?
私は研修のレポートで、「大いに盛り上がりました!」と投稿しがちでした。これらのブログで反省し、表現を改めます。「きっちり仕上げました!」の表現がよいかんあ。
今回の研修受講者が、それぞれ得た気づきやグループ演習で学んだことを、何か一つでもよいので現場で実践していただければと念じます。
会場を後にする前に記念写真を撮りました。
観光大使にならって、ツッコミ(フィードバック)に磨きをかける必要があるな。
◆あなたの会社では「中間管理職の育成」を一日こっきりの「神隠し研修」に委ねていませんか?
人材開発の立場から、管理職の育成に関してわかっていることといえば、やはり、「挑戦的な仕事」と「フィードバック」だと思います。
「他者をリードする人材」を育成したければ、「他者をリードする経験」をもつことである
かくして、リードすることを含む「挑戦的な仕事」を、なるべく早期からもつことが重要になります。
もちろん、あまりにもシビアな仕事からはじめてしまうと、無理も生じます。挑戦的な経験のレベルがあまりにも高ければ、うまくいかないのです(DeRue & Wellman 2009)。管理職育成を高める、もうひとつのドライバーは、言うまでもなく「フィードバック(あるいはコーチング)」です。
挑戦的な仕事に対して、きっちりフィードバック(あるいはコーチング)をしていくことが、より高いレベルの育成を可能にします。ま、そうだよね、という感じですね。
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