子育て支援とシルバー・デモクラシーをつなぐもの

市民協働コーディネーターをしていて有り難いのは、子育て支援から高齢者福祉まで幅広く関わることができること。

行政職員の業務は部署ごとに担当領域が定められており、対象とする年代層ないしは分野が固定されるのが通常です。私は非常勤のフリーランス公務員なので、「市民協働」に関わることであれば分野を超えて動けます。

現在は、パパ会の立ち上げやケアメン(男性の介護)講座企画などなど、様々な年齢層にアプローチする活動をしています。

そうしたなか、新逗子駅二階の本屋さんで見かけた二つの新書が、まさに目下の関心事でした。一つ目が寺島実郎著『シルバー・デモクラシー』、もう一つが柴田悠著『子育て支援と経済成長』

まだ読了していないので書評的なことは書けないのですが、それぞれ目を引く文章があります。まずは『シルバー・デモクラシー』で描かれる団塊の世代の矜持。

まさに我々が大学に入る頃、1966年に日本の人口が一億人を突破した。その時の総人口における、65歳以上人口比重はわずかに7%だった。同じ一億でも、「700万人しか高齢者がいない一億人」と、迫りくる「4000万人が高齢者によって占められる一億人」という状況の違いをよくイメージすべきである。

つづいて、『子育て支援と経済成長』の明晰な分析力。(太字は本文ママ)

日本では少子化よりも高齢化のほうが先に問題となったため、年金や介護のような高齢者向けの社会保障は先進国平均レベルにまで整えてきたものの、子育て支援にあまり手をつけてこなかったのです。第3次ベビーブームを見込んでいたこともあって、少子化にそこまで危機感を持っていなかったことも大きく影響したのでしょう。その結果が、今の日本のありさまです。非常に子育てがしづらい国になってしまいました

地域活動の支援に関わるなかで、団塊の世代以降の方々と子育て世代の間に、考え方や価値観のギャップがあると感じます。

市主催でワークショップを行うと、テーマにもよりますが、参加者は60代後半以上の男性の割合が多く、若い人達の姿が少数です。そして、往々にしてシニア男性の声が大きくなりがちでもあり、私の務めとして、できるだけ若い人達が意見を言いやすくなるように努めています。

子育て現役世代のパパ・ママに参加してもらいやすいように、ワークショップを土日に開催しています。が、それでも参加は少ない。実際、自身の仕事や生活で忙しく、出てこれない事情があります。家庭のことで手一杯、地域に関心はもちつつも、休日に時間を割く余裕がない状況もあるでしょう。

ワークショップの年代下手参加割合もさることながら、選挙の投票率はさらに年代ギャップがあります。『シルバー・デモクラシー』の記述を転載。

2015年、実際18歳にまで投票年齢を引き下げたが、人口の四割が高齢者だということは、有権者人口を分母にとれば有権者の五割は高齢者になる。さらに、若者の投票率が低く、高齢者は投票に行くという現在の傾向が続いたならば、有効投票の六割を65歳以上の人が占めるという事態が十分に予測される。

このまま行けば「老人の、老人による、老人のための政治」になりかねないのである。世に「老人がもっともらしい理屈で戦争を起こし、若者が戦争に行く」という言葉があるが、我々は日本の民主主義を、このような空虚で荒涼としたものにしていいのだろうか。

抜粋の後半は論理の飛躍があり、団塊の世代の方々はご自身のことを「老人」とは思っていないのですが。

それはさりとて、団塊世代が持てるエネルギーは大きい。日本を経済成長させた成功体験に裏打ちされた自信と、引退後の時間的余裕、貯蓄と年金の金銭的余裕(勿論、余裕の度合いは人によって異なります)があります。

団塊世代のパワーがシチズンシップで発揮されて、地域の課題解決に上手くつながったら、きっと凄いことが出来るはず。

そんなことを考えていたなかで、「学校支援地域本部」の会合で、学校で児童・生徒に団塊パワーが発揮されていることを知りました。(会議中の写真は撮らなかったため逗子市HPから画像切り抜き)

学校支援地域本部は文部科学省の事業として行われているものです。藤原和博さんが杉並区和田中学校で校長をされたときの取り組みがモデルとなって、全国に展開されたものです。

逗子市では、市内5つの小学校・3つの中学校に1名ずつの地域コーディネーターが付いています。内、数校で団塊世代の男性が担当し、登下校の見守り、田んぼ作業、餅つき大会などで大活躍されていました。

子育て支援とシルバー・デモクラシーをつなぐもの。その機能を、学校支援地域本部が果たしています。今後も期待です。

それから、シルバーの方々が運営しているわけではないですが、「子ども食堂」も子育て支援と地域の有志をつなぐ場になっていますね。ずし0円子ども食堂もがんばってます。

 

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