佐々木正美『あなたは人生に感謝ができますか?』

この数日、父親本の投稿を続けていますが、本日も関連した読書ログです。

Facebookコメントで研究者のママ友から、「父親の育児は次世代育成観(ジェネラティビティ)が特徴では?」と指南をいただきました。たしかにそうかも、と思いました。

ジェネラティビティとは「世代性」を意味し、エリクソンが提唱した発達理論(ライフサイクル)の用語です。エリクソンは「アイデンティティ」を提唱されたアメリカの有名な心理学者です。

エリクソンの発達理論では、人が生まれてから老いるまで8つの段階に分け、それぞれの人生ステージで乗り越えるべき課題があると説明されます。

そして、壮年期にあたる40〜60歳の発達課題が「ジェネラティビティ/世代性」にあたります。

佐々木正美先生が発達理論を解説された本『あなたは人生に感謝ができますか? エリクソンの心理学に教えられた「幸せな生き方の道筋」』で、次のように語っています。

壮年期のテーマは、世代性を生きることです。前の世代の人から、その人たちが生み出した文化を学び、継承する。そしてそのうえにさまざまな業績や創造をつみ重ねて、新たに生み出したものを、自分たちが生きたあかしとして、次の世代の人に譲り渡す。

こういう生き方ができたときに、幸福な壮年期をすごせます。エリクソンはジェネラティビティと言いました。壮年期に私たちは、世代性を生きているんです。

父親らしい世代性の例として、地域の野球やサッカーコーチが挙げられます。

自分自身の子どもが成人してチームを卒業した後も、コーチを続けれられている方が多い。チームの伝統を受け継ぎつつ、新たな創造を加えてチームを発展させる喜びを得たり、子どもたちの成長を見届ける。コーチをしている父親たちは、きっと「世代性」を意識されているだろうと思います。

ちなみに、下の画像は、私が40代以降向けキャリア研修で使うスライドです。

壮年期は「中年の危機/ミッドライフクライシス」とも被ります。中年の危機のポイントは「いつまでも’自分ファースト’でいると停滞する」というところです。

佐々木先生の引用を続けます。
・・論文を書こうとする私に、ジャストミートな文章でした。

私は勤務先の大学で、学生たち相手によくこういう話をするんです。

学生や研究者は論文を書きます。卒業論文、修士論文、博士論文。博士になってからも、研究して論文を書きますよね。学生も学者も、研究をするときには必ず、その分野の先行研究を学ぶんです。先人が過去になにをどこまで研究しつくしたか調べる。

そして、ここから先は誰も手をつけていないというところを確認する。そこに、自分の研究課題を見出すんです。

先行研究から学ぶ。そのうえに自分のプランをつくって、研究して業績をあげる。その結果を学会で発表したり、学術専門誌に論文を書いたりして、次の時代の人のために足跡を残す。これは立派な世代性の生き方ですよ。そういう研究をしてほしいと、私は学生たちによく話すんです。

研究者や教育者は後進に対して、ここまでの研究はすでになされていると伝えますよね。ここから先、きみならこういう方面にいったらどうだと指導をするでしょう。指導をつづけていって、やがて引退していきます。そのとき、自分の業績を引き継いでくれる次の世代に恵まれていれば、それは幸福な生き方ですよ。そうですよね。

エリクソンはそういう幸福な生き方のことを、世代性を生きると言いました。見事な洞察です。

先行研究といえば、尾形和男先生『父親の心理学』(2011)は過去の父親研究が整理され、父親に関する諸問題が網羅されていて重宝しました。
・・タイトルの「心理学」が内容と合っていないのが惜しい。

こちらに紹介されていた「家族ライフサイクル理論」が、私は初見で興味深い。家族にも発達上の課題と危機があると理解しました。(下記画像は『父親の心理学』83頁より転載)

佐々木正美先生の話しに戻ります。

佐々木先生の本を読んでいると、ときどき父親に関して言及があって、父親が育児することに対し、わりとネガティブな言い方をされています。エリクソンの解説本にもありました。

日本は男女共同参画社会になってきています。そのこと自体には、私は大賛成です。とても重要なことだと思っています。だけど、お母さんとお父さんが育児を半分ずつ均等に分担しあうとか、お母さんが従来やっていた役割を一部お父さんが安易に代わってやることには、私は不安や警戒心をもっています。そういうことをすすめるのは、赤ちゃんの心を知らない人ですよ。

なにも、お父さんは育児に関与しなくていいと言っているんじゃないんです。お母さんだけが苦労して育児をしなさいという話ではありません。そんなことはまったくない。

だけどやっぱり、育児の主役はお母さんです。お父さんとお母さんを同じように感じとっている子どもはいない。半々に育児をしてほしいと思っている子なんていないんです。

私からとくに反論はないのですが、、

昔、十年くらい前のことですが、1歳半健診やパパ講座の会場などで、保健師さんから父親が育児することの反対意見を聞かされたことが何度かありました。きっと、その保健師さんは佐々木理論を学ばれて、それを根拠に母親育児主役論を展開されたのだろうと思います。

今は、男性の保健師も増えて、そうした声はほとんど聞かれなくなりました。保健師のお姉さま方、今も本音ではどう思っているのかな。

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