その鎖を愛する奴隷たちへ〜クリスマス(=高橋まつりさんの命日)に長時間労働を悼む

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今朝(2016年12月25日)の朝日新聞の一面に、一年前のクリスマスに自殺された高橋まつりさんの母による手記が掲載されました。

「働く人全ての意識変えて 電通過労自殺 母が命日に手記」

まつりの死によって、世の中が大きく動いています。まつりの死が、日本の働き方を変えることに影響を与えているとしたら、まつりの24年間の生涯が日本を揺るがしたとしたら、それは、まつり自身の力かもしれないと思います。でも、まつりは、生きて社会に貢献できることを目指していたのです。そう思うと悲しくて悔しくてなりません。

人は、自分や家族の幸せのために、働いているのだと思います。仕事のために不幸になったり、命を落とすことはあってはなりません。

人が亡くなるというのは、本当に重いことだと思います。

長時間労働に規制をかける政府の動きに対して反論があり、「好きで仕事やっているんだから労働時間の規制は絶対に望まない」と自説を述べる経営者もいました。この説に対する反論も色々あるのですが。

高橋まつりさんの他にも、過労死をされた犠牲者と遺族が日本中に何万人といるわけです。事実を厳粛に受け止め、死者を悼む姿勢をもつべきことを朝日新聞から教わりました。

まつりさんの母親の手記は続きます。

形のうえで制度をつくっても、人間の心が変わらなければ改革は実行できません。

会社の役員や管理職の方々は、まつりの死に対して、心から反省をして、二度と犠牲者が出ないよう、決意していただきたいと思います。

そして社員全ての人が、伝統を重んじることに囚(とら)われることなく、改善に向かって欲しいと思います。

日本の働く人全ての人の意識が変わって欲しいと思います。

電通は、今年のブラック企業大賞に選ばれました。このニュースをNHK以外のテレビ局や大手新聞社が報じないところに日本社会が変われない構造が現れているのですが、それはさておき。

会社として、11月に「電通労働環境改革本部」を立ち上げ、夜10時以降の深夜勤務を原則禁止など対策を講じ始めているようです。しかしながら経営陣が、自社の新入社員を死に追いやったことを悔やんでいる様子は見受けられません。

電通のプレスリリースを読んでも、反省自戒懺悔の弁はなし。超一流のコピーライターを最も擁している会社のはずなのに、心に響くものがまるでない文章です。

前途ある社員が亡くなるという悲しい事態が発生し、本年9月30日に労災認定されました。その後、関係当局からの調査を受けており、その調査に全面的に協力しております。当社は、この事実を極めて重く受け止めております。

ワタミが過労自殺の遺族から訴えられたときも、似たような回答を会社側がしました。それが、ワタミが「ブラック企業で炎上」するきっかけになりました。

電通がブラック企業大賞に選ばれたことに対し「電通以外にブラックな会社は山ほどある」といった異論があるようですが、経営者の姿勢あり方をみるかぎり、電通は大賞にふさわしい企業であったと私は思います。彼ら経営陣に高橋まつりさんのお母さんの声が届くこと、二度と犠牲者を出さないと決意されることを心から祈ります。

かくいう私自身、その初代ブラック企業大賞の会社で人事を務めた経験があり、こんなことを言う資格はないのかもしれません。社員教育の担当で、当時話題になった「24時間、365日働け!」の社長メッセージを広める立場にあり、私もそのつもりで働いていました。

ワタミを退職して次に再就職した学習塾は、ワタミ以上にブラック気質でした。会社に生殺与奪権を握られ、人権を剥奪されたかのような扱いを受けました。心がボロボロになり、身体がフラフラしながら、必死に働きました。

「必死」と書いて「必ず死ぬ」。必死になって働いて働いた末に、クリスマスの夜に駅のホームで飛び込んでいたのは、もしかしたら私だったのかもしれません。

ローマの諺に、こんな言葉があります。

奴隷は、その鎖を愛する。

長時間労働を擁護する人を見るたび、「長時間労働者という名の奴隷」と思われて憐れむ気分になります。その奴隷とは、長女の誕生をきっかけにサラリーマンを辞める前の私自身でもあります。

それでは、長時間労働をやめるために、具体的にどうすればいいのか。解決策は同じ日の朝日新聞9面、ファザーリング・ジャパンの調査結果で示されています。

PC強制終了・ノー残業デー…長時間労働なくす実践例

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取り組んだ会社のうち「効果が高かった」と答えた割合で見ると、PCの強制シャットダウンが1位(4社中4社)。ノー残業デー(49社中27社)、再点灯不可の強制消灯(4社中2社)が続きます。

(中略)

結果について、FJは「長時間労働削減には、強制力、トップメッセージ、全員参画がカギであることが見えてきた」としています。

クリスマスイブの夜は、NHKスペシャルで「#長時間労働」の特集がされていました。妻と一緒に視聴しました。

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NHKの本気が伝わってくる番組でした。この番組でも長時間労働をなくし、働き方を変えるための解決策がいくつも紹介されていました。

一方、twitterで「#長時間労働」のツイートを眺めると「長時間労働はなくならない」「働き方を変えるのは無理」というコメントが多いことに驚きます。つまり、奴隷が多すぎる。

私はもう、奴隷のような働き方をするつもりはありません。奴隷的ではない働き方とは例えば、組織に盲従を強いられず、自分の意思とペースで仕事することができ、自分が休みたいときは休めるような働き方です。そんなに難しいことではありません。

そのためには、周囲の評価を過度に気にしないことが出発点。「出すぎた杭は打たれない」をモットーに。働き方で頭を抱えている人たちに、こっち側に早くおいで、と声をかけたいほどです。

とはいえ、現実的に会社を辞めて固定収入を失うと路頭に迷うので、決断は慎重に。ジリ貧からドカ貧に陥らないように注意は必要。既婚男性の場合はとくに、妻とよく話をしたうえで重要な判断を出すのがよいと思います。

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