川島高之『職場のムダ取り教科書』

元祖イクボスこと、川島高之さんの二冊目となる単著がでました。

著者は、昨年に三井物産を退職されてフリーとなり、イクボスや働き方改革などをテーマにした講演を年間300回ほど行い、全国各地を飛び回っています。きっと今日もどこかで、ダブルヘッダーorトリプルヘッダーの登壇をされていることと思います。

川島さんはファザーリング・ジャパンの大先輩。川島さんと最初に出会った10年前、名刺交換をした際に「商社は副業だから。本業は少年野球コーチとPTA会長」と言われて、強烈な印象をもったのを覚えています。当時からスーパーマンのような人物でした。

『職場のムダ取り教科書』の発売日、東京の大型書店に行って買い求めました。ドーン!と積まれていました。

東京駅・丸善オアゾはビジネス書コーナーの目立つ所に15冊。

池袋・ジュンク堂では二つの棚で10冊ずつ面陳列。POPも付いていました。

働き方改革の関連書籍、働き方改革を特集する雑誌が増えています。こうしたメディア露出によって一時のブームからムーブメントに移るので歓迎です。IT業界の会社から働き方改革の発信が目立つのは、ビジネスチャンスにつながるからでしょう。

働き方改革の書籍の多くはハウツーだったり、事例集だったりします。それがいけないわけではないのですが、頭で理解できても実際には出来ないのが人間。本を読んだからといって実現できるものではありません。

その点、川島さんの語る働き方改革は、自身が経営する会社で実行して結果を出したノウハウを披露しており、有無を言わさぬ説得力があります。その実践的説得力は佐々木常夫さん、吉越浩一郎さん、小室淑恵さんの書籍と通じるものがあります。

働き方改革が叫ばれますが、働き方改革は個人の努力では限界があり、個人レベルの自己啓発で職場の働き方が変わることはありません。

例えば、本書にある「会議を8分の1にする方法(回数半分×時間半分×人数半分)」は効果が高く、分かりやすい手法なのですが、担当者が「会議を8分の1にしましょう!」と提案しても、ボス(経営者・管理職)の覚悟がなければ実現できません。

働き方改革の鍵を握るのは「イクボス」です。そして、経営者の意識変革ができる講演者の川島さんは稀有な存在であり、あらゆる業界・企業・官公庁から引く手あまたになるのはよく分かる気がします。

とはいえ、本書のまえがきで書かれているように、若手社員も諦めモードにならず、少しずつでも始めることで物事は変えていくことはできます。上司の文句や会社の愚痴を言っているだけでは何も変わりませんから。

ノウハウが満載の本書ながら、川島さんの真骨頂はハウツーを超えた反骨心にあると個人的に思っています。本書では、コラムの文章に引き込まれるところが大でした。

今から白状するが、私は若手時代、どうしてもドンヨリ会議を我慢しなければならない場合に、こっそり資料を持ち込んで、議題とは無関係な勉強をしていたことがある。(中略)PC持ち込みが可能になってからは、会長を務めていた子どもの学校のPTA、あるいは代表していたNPOに関連するメール対応や資料作りなど、ライフやソーシャルにまつわる「内職」もしていた。(中略)

どうしてもドンヨリ会議に出なくてはならない場合、裏ワザ的な積極的内職もときにはありではないだろうか。

私は子どものころ、根っからの「野球少年」だった。(中略)当時は珍しくなかったと思うが、「鬼監督」と「鬼コーチ」がそこにいた。ランニング中に立ち止まって休んだりするとそれだけでレギュラーを外される。コーチの口癖は「水飲むな、ど根性、走れ、うさぎ跳び、声出せ」の類ばかり。要するに「根性でグラウンドに長くいること」自体が美徳であり、目的となってしまっていた。(中略)

そこで直接反発してもガツンとやられて終わり。そこで私は、子どもたちだけのチームを別に作り、私が監督兼選手となって、独自の練習を始めた。

この経験は、私のルーツの一つになっている。そこから私が得たのは、「手段を目的化するとロクなことがない」こと、そして「直接ぶつかるのが無理ならうまく受け流し、求める環境は自分で作る」ことだった。

ただし、妻に対しては反骨せずに従順な姿勢を保つのが大事。

若かりし頃の私は、妻から相談を受ければ直ぐに解決策を提示し、意見が異なれば徹底的に議論した。もっとも、それですぐに問題が片付くとは限らない。口喧嘩に発展することも珍しくなかった。しかし、ある時気付いた。「これでは得るものがない、そうだ、傾聴・・・妻の話を聴くことに徹するんだ」と。そこで、こちらの意見を言う前に、とことん妻の話に耳を傾けることを優先した。

そして、あとがきを読んで、川島さんが世の中に一番訴えたいメッセージはこれなのだ!と納得したのでした。

一度しかない人生、「ワーク・ライフ・ソーシャル」の三本柱を欲張ろう!

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