香取一昭・大川恒『OST実践ガイド』

「OST」といわれてもピンとこない人がほとんどだと思いますが、ファシリテーションの手法です。

OSTとは、実行したいアイデア、解決したい課題、探求したいテーマを参加者が提案し、それに賛同する人が集まって話し合うことにより、具体的なプロジェクトを生み出したり、テーマについての理解を深めりするためのプロセスです。

「オープン・スペース・テクノロジー」というと、ITの技術的な用語に見えてしまい、理解しづらいかもしれません。

しかし、「オープン・スペース」は「(対話の)広場」。「テクノロジー」は「(対話の)手法」を意味しています。

ファシリテーションの分野では、「OST」という略称が一般的になっているので、本書でもそれに従うことにします。

ワークショップで気づきを得るだけでなく、行動を求めることを狙いにする場合は「楽しかった」の感想をもらうだけでは不十分です。

例えば、ワールドカフェのワークショップは、参加メンバーとの対話が楽しくて満足度も高いのですが、ワールドカフェを繰り返しおこなっても行動に転化することはめったにありません。

その点で、OSTのよう参加者から自発的にリーダーが現れて仲間から知恵を集める進め方は、実践につなげる手法として有効と感じました。

逗子市役所で市民協働コーディネーターを務めていたとき、とある案件のワークショプでOSTの手法がふさわしいと判断し、OSTのファシリテーションにトライしたことがありました。

主催者(行政)が落とし所を決めるのではなく、参加者(市民)が自発的にリーダーになってアイデアを出し合い、参加者同士でプランを練る進め方が上手くハマり、狙いどおりいきました。

しかし、私のルール説明が徹底しきれなかったせいもあり、参加者(年配の女性)がリーダーに遠慮して「移動性の法則」が機能せず、「他のテーマの話しも聞きたかった」と不満がでて満足度は低かったです。

そして、その案件はワークショップでいくつものアイデアが出されたものの、結果的には案件自体がポシャってしまい、しょっぱい思い出となりました。

OSTの可能性は感じたので、また機会があればチャレンジしたい。そう思っていたところに本書が出版されました。解説と事例が分かりやすかったです。

OSTファシリテーターの態度と振る舞い

❶目的を共有して場を開く
❷グラウンド・ルールを示す
❸フラットな関係の場をつくる
❹今ここに集中する
❺内なるリズムで行動するように促す
❻コントロールを手放す
❼場をホールド(保持)する
❽混乱に耐える覚悟でのぞむ

さらっと述べられていますが、なかなかスキルが必要です。

とくに「6.コントロールを手放す」と「7.場をホールドする」は逆方向にあり、相当な経験値が求められると思いました。私も両方同時ができるか自信ありません。

市役所でOSTワークショップをした際は、先行して出されていた『オープン・スペース・テクノロジー」を教本にしました。翻訳本で理解しきれない箇所が多々あり。本書がもっと早く出ていれば、ルール説明はもっとこなれていたはず・・。

 

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