エドガー・H.シャイン『組織文化とリーダーシップ』

キャリア・アンカー、プロセスコンサルテーションで著名なシャイン博士の骨太の本書を、三連休の中日、丸一日かけて読みきる。

内容は「組織文化とリーダーシップ」そのもの。なかでも、シャイン博士がコンサルタントで深く関わったDEC社とチバ・ガイギー社の事例は、いきいきとした解説と興味深い考察が随所にあらわれ、ときにコンサル失敗事例も紹介されて、俄然面白かった。

両社の文化は好対照。かたや議論を絶対視してアイデアを生み出し、感情を顕にするカリスマ創業者のもとでイノベーションを成し遂げたアメリカのベンチャー企業。一方、伝統と個人のスペースを重んじ、科学と専門性を何より尊重するドイツ・スイスの化学・製薬企業。

組織文化が異なる背景には、国・地域、業種特性等の違いもあるのだが、組織によって文化が異なることが、両社によって見事に描写されていた。

文化が主題の本書であるが、「前提認識=assumption」の用語がより多くでていた印象があった。assumptionとは「組織メンバーが無意識のうちに、当然のものとして共有している心情、価値観、基本的な認識」という意味(訳者あとがき,493頁)である。

組織文化の変革は、見た目でわかるもの(本書では言及ないがCI的な活動)や、制度や仕組みだけを変えるのでは不十分で、この前提認識まで変える必要がある。それが簡単ではないことは、環境が変化したなかで前提認識を変えることができなかったDEC社が経営破綻し、コンパック社に買収されたことでもわかる。

あわせて、組織文化の変革が簡単ではないなかでも、チバ・ガイギー社が内部の改革を成し遂げた際に「基本的な文化のパラダイム変化を伴わなくとも、組織の運営において顕著な変化は起こり得る」(425頁)と考察されている点も考えるべきポイントになる。

本書を読もうと思ったきっかけは、「心理的安全性」の研究をしているなかで、初めにこの用語を使いだしたのはシャイン博士であるとの記述を見つけたからだった。

『チームが機能するとはどういうことか』の参考文献リストに本書が載っていた。

チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ

「心理的安全感」に関する記述は2箇所(357頁、413頁)。

要旨は、組織文化を変革するにあたって、不安感が拒絶と抵抗を生む。なので学習者に「心理的に安全である」と感じてもらうことで不安感を軽減することが求められる。

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