防災用に寝袋を買いました。横浜駅のヨドバシカメラで封筒型の寝袋を二つ。家に帰って広げたら、娘たちが障害物競争を始めました。平和な光景です。
ヨドバシカメラに行く前、横浜のカフェで学生の相談に乗っていました。以前に大学でカウンセリングをした学生で、大学院に進学し、修士の卒業を迎えて改めて就職の相談でした。
インターン先の会社から採用と言われたけど、契約社員と打診されて迷っているとのこと。彼女の志望はデジタル・クリエイティブの業界で、私は「3年先、1年先がどうなっているか分からない世界で、正社員とか先の保証を求めても意味ないよ」と伝えました。
また、「就職は運と縁と恩で決まる」の格言と、「どんな選択をしようとも、あなたらしいキャリアとあなたらしい人生が待っているから大丈夫」とアドバイスしました。
そんな就職相談があり、寝袋の買い物を済ませた後は、アメリカの大統領選の速報をチェックし続けました。トランプ優勢の報せに驚愕を隠せず、不安が募るまま、結果を見守りました。3ヶ月前、1ヶ月前は現実として想定されていなかったトランプ大統領が誕生。先がますます読めない時代であることを痛感した事件でした。
トランプ大統領のアメリカ社会がどうなっていくのか。日本への影響がどのようなのか。専門家の評論をいくつか読みました。私がただ望むのは、平和な世の中が続いてくれること。
アメリカ大統領選で思い出すのは、今から16年前、2000年の大接戦。共和党ジョージWブッシュ氏が民主党アル・ゴア氏を僅差で破りました。ブッシュ氏は大統領になるとイラク空爆を開始し、同時多発テロ事件の動因となりました。
歴史に「たられば」を語っても仕方ないけれど、もし、ゴア大統領が選ばれていたら、イラク戦争と911テロは起こらなかったでしょう。数年後に「あのとき、ヒラリーを大統領に選んでおけば・・」とならないことを祈ります。
ちなみに、2000年の大統領選挙は、遠い日本にいた私も間接的な影響を受けました。ゴア氏が副大統領のときに推進した情報スーパーハイウェイ構想が頓挫し、ITバブル(ドットコムバブル)が崩壊。アメリカが不景気になりました。
私は当時、REI(シアトル本社)がバブルの余勢を駆って日本に初進出したREI TOKYOフラッグシップストア(南町田)で勤めていました。店舗の営業状況は正直よくなかったのですが、アメリカ本体の経営悪化で日本撤退がスピード決定され、あえなくREIをレイオフに。
アウトドアを生活の糧にする夢が破れて失業し、すぐ就職する気が起きなくて半年ほどブラブラして過ごしました。海外放浪の旅に出るべく乗った上海行きの船上で、911を報じるCNNニュースを見ました。当時「ゴア大統領になっていたなら・・」と恨みがましくなったものです。
数日前、妻から「グランベリモールが閉店するんだって」と教わりました。REIの店舗は南町田のグランベリーモールにありました。そのニュースは、いまの私には大統領選と同じくらい遠い世界でした。そして思ったのは、仮にあのとき撤退しなかったとしても、16年後にお店は無くなっていた事実。どっちに転んでも、自分らしい人生が待っていた。
一つ確実に言えるのは、妻と知り合ったのは南町田で働いていたときで、REIジャパンに就職していなければ妻と出会うことはなく、娘たちが産まれることはありませんでした。あらためて元の職場、伝説のアウトドアショップREIでの運と縁と恩に感謝します。
15年着用しているREIのフリースベストと、オープニング記念Tシャツを広げながら、もう一つ思ったことがありました。
あのままアウトドア業界にいたとしたら、封筒型のシュラフを家電店で買うなんて有りえなかったなー。
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