立教大学・中原淳先生の「人材開発持論」を履修しています。毎回の授業は『人材開発研究大全』の全33章の中から一つの章をピックし、学生が概要をまとめ、先生が解説される形で進みます。
今回の授業は「第25章 若手教員の経験学習」でした。
横浜市の教員を対象にした調査結果をもとに、学校の先生がどのように学び、成長するのかを分析した研究です。
「若手教員の学び」は関心のあるテーマでしたので、出典元の『教師の学びを科学するーデータから見える若手の育成と熟達のモデル』を買い求めて臨みました。
授業および本書から、学校の先生のリアルな現状が伝わるデータや調査結果がいくつも紹介され、いくつも発見がありました。
なかでも私が驚いたのは、先生の年齢構成分布です。
東京・神奈川・大阪・愛知といった大都市圏は、20代後半と50代後半に大きな山があり、30代40代の中堅が少なくて谷になっています。地域によってバラつきが大きいことも驚きの事実でした。
下記の図は著者の一人、町支大祐氏のブログから転載です。
*町支大祐のページ「平成25年の都道府県別教員年齢構成を出してみた」
上記画像のA群、大都市の教師年齢分布のグラフは、似たものを見たことがあります。それは、バブル崩壊後に大リストラをした企業の社員年齢分布。
バブル入社組以前の大量採用世代と、近年の景気回復で採用を増やした20代が多い半面、採用を控えた30代40代の層が薄い。そのために、中堅リーダー層の負荷が高まり、若手を育成する余裕がなく、50代のモチベーションがあがらない。
企業と同じ現象が大都市の公立学校で起きていたとは。初耳でした。
ほか、経験学習や反省的実践家、定型型熟達者と適応的熟達者、組織的メンタリング活動など、鍵概念がいくつも出てきました。なんとなく分かっていたようなことを、理論的な言葉で説明されると納得感が高いです。
また、本書に書かれていないところで、授業では中原先生から「先生方はなぜ部活をやりたがるのか?」の解説があり、大いに腑に落ちたのでした。
横浜市の教員調査は色々と面白いのです。興味のある方はぜひ本書を手にとっていただけましたら。
本書とは別の調査で先日、「~教員の「働き方」や「意識」に関する質問紙調査の結果から~」が発表されました。(横浜市教育委員会・東京大学中原淳研究室 共同研究、平成 29 年度)
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http://www.edu.city.yokohama.jp/tr/ky/k-center/nakahara-lab/txt/180514_hatarakikata.pdf
こちらも読み込むと、非常に興味深い内容です。ご興味ある方はぜひ。
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