梅本龍夫先生『数の神話―永遠の円環を巡る英雄の旅』

大学院に来て良かったと思うことの一つは、ここで勉強しなければ読むことはなかったであろう本との出会いがあることです。

梅本龍夫先生(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授)の『数の神話-永遠の円環を巡る英雄の旅』は、まさにそうした書物でした。

梅本先生は、電電公社、スタンフォード大学MBA、ベイン・アンド・カンパニー、サザビーリーグでスターバックスコーヒー立ち上げ総責任者、経営コンサルタントのキャリアを経て、大学教授に着任されています。

先生のもう一つの著作である『日本スターバックス物語』は私の愛読書で、三度読み返しました。(→三年前のブログ「連休の最終日はハンモックにゆられながら『日本スターバックス物語』を読む」

日本スターバックス物語──はじめて明かされる個性派集団の挑戦

梅本先生は専門領域は幅広く、経営戦略、ブランディング、リーダー・フォロワーシップ、物語法、ライフヒストリー等。エニアグラムとサードプレイスの授業を私は受けました。

先生の授業は学生とのフラットな対話が魅力です。本書『数の神話』の話題もたびたび出ました。このテーマの授業を受けていたわけではなかったのですが、意を決して購入して読み始めました。

不思議な本でした。

この文章はどこから湧いてきたの? と感じられる神秘な言葉が紡ぎ出されます。

例えば、第1章の冒頭。

一粒の種子

完全な夢の中に眠る「一粒の種子」がある。それは、花咲くことを夢見る始原の種子である。夢の源は、万物の可能性を完全な形で内包し、至福の虚空に漂う。

ある朝、「一粒の種子」がかすかにゆらぐ。その瞬間、万物の光が顕われ、あらゆる可能性が実在となる。世界創造の戸口で、完全無欠の光を目撃した何者かが、神の生誕の神話をささやく。

完全無欠の存在は、生まれながらにすべてを成就している。既に世界を完成させている者が、新たな世界を創造するために誕生する。ここに、あらゆる神話を貫く普遍の主題がある。「一粒の種子」は、確かに花咲くこをを夢見ているのだ。生命の完全性を内に秘めた神話の様子が、あらゆる可能性を地上に開花させ、その完全な姿が成就されることを願っている。

完全無欠の存在は、無限の可能性に開かれている。永遠の生命エネルギーが、夢の源(「宇宙創造の源」)から横溢している。それは、完全に成就され完成された全知の次元であり、しかも、すべてがこれから始まる未知の世界である。今ここに顕れる神話は、生命が「存在」の無限の可能性を完全に開花させ、「究極の宝石」のように光り輝く、永遠の瞬間の物語である。

「一粒の種子」が、夢の中で目覚める。一日は、早朝の完全な光とともに始まる。

頭で考えて練り出された文章ではない。神から降りて来た文体。梅本先生は詩人でもあったことを思い出しました。

ギリシア神話の叙情詩を読んでいるような感覚に。今日はたまたまクリスマス・イブで、旧約聖書の預言書に似たと表現するのがふさわしい。

読み飛ばすのがもったいなく、味わい尽くすのがよい「9つの数の神話」の物語。

584ページの大著。厚さを測ると5cmでした。

到底一日で読み切れるはずもなく。大体2cmくらいのところまで来ました。

冬休みの課題図書にします。

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