2018年の元旦新聞を読み比べ

あけまして、おめでとうございます。2018年も、どうぞよろしく願います。

元旦の朝、海までジョギングしました。数年前まで朝ジョグをしていたのですが、腰を痛めてから止めていました。

ジョギングの習慣を復活することにしたのは、葛西紀明さんの本を大晦日に読んだからです。影響されやすいのです。

習慣といえば、元旦の新聞読み比べするのが毎年の恒例です。

コンビニで売っていた朝日、読売、日経、東京新聞を買い求め、元旦営業していたご近所の喫茶店「大澤珈琲店」で二時間かけて読みました。

各紙に共通したキーワードは「北」「改憲」「仮想通貨」。
新年の幕開けながら、新聞のトーンは明るくない。平成の幕がまもなく下りるせいなのか。

変化が速い時代に一年間の展望を描くことが難しく、先行き不透明で希望を描くこともできない。幸福論を語ろうとするも、どこか自信なさげ。

明治維新から150周年記念イヤーの2018年ですが、民主主義と資本主義の転換期をいよいよ迎えているのだな。各紙を読みながら実感しました。

各紙の記事で私が一番共感したのは、東京新聞の平田オリザさん対談でした。

平田 阪大の同僚があるクラスで去年小説を読んだか聞いたら、ゼロもいたんですが一冊が一番多かった。たぶん「火花」だと思うんですけど。阪大生が小説を読んでないというのは本当にきついですよ。昔は読んでないとばかにされるような、教養としての読書があった。

斎藤 見えを張って背伸びをする。

平田 今は背伸びをしませんよね。地域共同体の駄菓子屋って、おばちゃんと仲良くなるコミュニケーション力の高い子が得するシステム。それを見て、小さい子も早く大人になりたがったと思うんですが、今は子どものままの方が楽なんです。

斎藤 平田さんが取り組んでいるコミュニケーション能力を磨くワークショップって、具体的にはどんな感じなんですか。

平田 磨くなんてあまり考えてなくて、コミュニケーションを嫌いにさせない、楽しいなと思ってもらうのが大事です。ごっこ遊び、ままごと、お祭りで自然に身についたのに社会の変化で欠落してしまったものを補っていこう、というぐらいに思っているので、まず楽しくないとだめです。でも、就職活動でコミュニケーション能力が必要と言われるので、大学生は自分にそれがないように思うんですね。コミュニケーションはほとんど慣れなので、早く慣れとけよと思うけど、地方の進学校ほど高校でアルバイト禁止なんです。スーパーグローバルハイスクールとか言いつつ、大人と接触できるアルバイトが禁止って意味がわからない。

平田 日本は植民地を持っていたのに植民地文学があまりない。フランスには植民地文学が確固としてあるんです。カミュなんかもそう。植民地支配は全員が加担していて、本当はそこを書いておかなきゃいけなかったけど日本の文学からは欠落してます。朝鮮半島支配とかは本当に書かれていない。韓国は文化予算が国内総生産比で日本の数倍ある文化政策大国です。一番の理由は、日本が三十五年間植民地支配をして文化を全部奪ってしまったこと。その記憶が非常に強くて、自国の文化を守ったり育てたりすることは国策なんです。日本は言葉や文化を奪われた経験がない幸せな国ですが、大国でその経験がないのは非常に珍しい。大きな転換点がむしろなかったのが日本の特徴でしょう。

斎藤 日本人には、混迷の時代になると「すべてを失えば少しは気づくよ」と考えるハルマゲドン史観のようなものがありませんか。明治維新とか敗戦とか革命的な景気ですべてが入れ替わり、新しく出発できるイメージを持ってしまっている。でも実際はそんなに劇的に変わるわけではなく、少しずつ変わってきたわけですよね。

平田 おっしゃる通りです。前の戦争でさえ、焼け野原になったといっても都市に限られて、豊かな国土は守られ、占領軍は来たけれど言葉も文化も奪われなかった。本当の意味で日本人全体が危機に陥った経験がない国です。全体としては幸せだと思うけど、思想とか芸術の面では、つらいところがある。韓国も成長率3%程度に落ちていて、ソフトランディングが課題です。日本の長期停滞を分析して「日本はクリエイティビティーの教育をしてこなかったから成長が止まった」と。それを反面教師にして、創造性という点にかじを切っているのは間違いありません。韓国ではソウル大、延生大、高麗大の三大学くらいしか財閥系企業に入れないので、その学力のない子の親は、高校から漫画科や演劇科に活かせます。すごく現実的ですが、日本みたいに普通科信仰にはならない。

もう一つ目を引いた記事は、朝日新聞のオピニオン。昨年の夏に長崎で被爆体験を伺った山脇さんの読者投稿がありました。

ご本人からも直接伺いましたが、英語を70代になってから学び始め、いまでは英語で被爆体験をスピーチされている山脇さん。

84才が語られる夢に、元気をもらいました。私も今年は(今年こそは)英語を勉強し直そう。

とまれ、
今年の元旦新聞は全体的に暗くて、グッとくるものがありませんでした。

お正月から暗い
Don’t Cry !

葛西紀明さんの本にあったストレスマネジメント技術に、私も従おうと思います。苦手なものには近づかない。

私は苦手な人はもちろん、初対面でも「合わなさそう」と感じた人にはできるだけ近づいかないようにしています。

そんな感想を抱いていると、産経新聞の元旦号を見逃したことに気がつきました。「パパ料理」の明るいニュースが出ていました。

会社帰りに「パパ料理」を学ぼう 「日本の魚色文化を子供に教えて」

今年は、パパ料理を習慣化するのです。

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