ジョン・ガーズマ,マイケル・ダントニオ『女神的リーダーシップ』

昨日投稿した電力総連のフォーラムで寸劇ワークショップをする前に、男と女のちがいをテーマにミニセミナーをしました。

私は自称、「男と女のちがい研究家」です。

ジョン・グレイ博士『ベスト・パートナーになるために』を始め、男女の違いに関連する書物を30冊以上読み、研究を深めました。

男女のちがいを研修しよう!と思ったきっかけは、10年ほど前にワークライフバランス推進・社内プロジェクトチームの応援に加わったことでした。その顛末は次のスライドに。

応援していたプロジェクトが不本意な結果に終わりました。その原因は何だったのか、メンバーと振り返りました。

そこで出てきたのが提案の仕方に対する反省で、「男性的な思考と女性的な直感にギャップがあった」ということです。男性を説得する際にはロジックとデータで語らなければならない。

男性が多い職場で働く女性が、男性的な思考・行動パターンを理解することで、もっと上手く働くことができるようになるのではと思いました。男性職場での振る舞い方で悩んでいる女性が「男と女のちがい」を理解し、男性上司へのアプローチ方法を変えることで、楽しく働くことができるはず。

逆に男性も、女性社員が職場に増えてきたなかで、女性との関わり方に悩むようになりました。男性社会の方法論(競争を煽る等)が女性の部下に通用せず、困惑している様子が伺えました。男と女では効果的なやり方が違うと知ることは、男性にとっても有効でした。

私自身は姉2人・妹1人の女家族で、男女のちがいを常に意識しながら育ってきました。学校は全て共学、仕事も女性が比較的多い職場を経験し、いまは妻1人・娘2人の家族。この4月からPTA会長になって女性ばかりの組織で活動していますが、女性社会での振る舞い方に慣れているので割と平気です。

そうした経験から培ったハウツーと、書物から得られた知見をもとに、オリジナルの「男と女のちがい研修」のプログラムを作り、いくつもの企業で実施しました。毎回好評で、リピートのオファーが多いプログラムでした。

しかし去年あたりから、男女のちがいのプログラムを積極的にやらなくなりました。その理由は、ダイバーシティの浸透、LGBTへの理解を広めようとする社会で、「男と女のちがい」をことさらに強調する感覚はもう古いと認識した為です。

男性脳と女性脳の解説などを教えていました。しかし、根拠が曖昧で解釈の部分が多く、感覚論で話している自覚は以前から持っていました。

研修では「男は問題解決/女性は共感性を志向する」といった解説をします。でも実際は、性差より個体差の方が大きい。「男だから」「女は・・」と決めつけた言い方は違うかもと思うようになりました。

そうしたなかで、男性的・女性的な要素をアカデミックな観点から検証し、企業活動等において活用・展開を考えた本の存在を知りました。『女神的リーダーシップ』です。

世界13カ国、6万4000人を対象にした調査した結果をまとめ、各国での事例を紹介した内容です。

例えば、あらゆる性格的な要素をピックアップし、調査対象者に「この項目は、男性的?女性的?」と尋ねて分類。

別途「理想とするリーダー像」を尋ねており、その要素を「男性的」「女性的」で分布させます。すると、次のような結果が出ました。

世界で成功している起業家、リーダーが示す特徴の多くは、思想や宗教、文化に関係なく「誠実」「利他的」「共感力がある」「表現力豊か」「忍耐強い」など、一般に「女性的」といわれる資質である。

次のようにも書かれています。

調査の回答者(6万4千人)は、人生で成功するには男性的な資質と女性的な資質の両方がカギを握ると考えているが、全体の65%が政府に女性のリーダーが増えれば信頼や公平さが増進して戦争や不祥事は減ると見ている。

一言でいえば、本書の副題にあるとおり、

世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である。

本書では又、男女の偏見をことさらに助長するものではないことを繰り返し言及しています。

男性的か女性的かは二者択一ではない。女性らしい思いやりを持つ男性もいれば、男性顔負けの分析や自己主張をする女性もいる。性別は天与のものだが、後天的に異性の美点を取り入れることは可能である。

わたしたちは女性的な価値観を女性だけのものと見なすのをやめ、いまの時代にふさわしいイノベーション手段として受け止めなくてはいけない

この内容であれば、研修でとりあげても違和感をもたれずに説明することができそうです。

本書を解説するだけで一コマ分の授業ができます。そんな機会ができるといいな。

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