FJママインタビューは棒田明子さん。ソーシャルキャピタルの研究協力者でもありました。

ファザーリング・ジャパン(FJ)立ち上げメンバーの棒田明子さんに、FJママインタビューしました。

FJでは、産後うつのママをサポートする「ペンギンパパ・プロジェクト」を立ち上げ、「3・3産後サポートプロジェクト」を推進されています。

子育て中のママ・パパを支援する活動のなかで、孫育ての著書も多数。NPO法人孫育て・ニッポン理事長でもあります。

FJでは姉御的な存在感があり、いつも各地を飛び回って輝きを放っています。先日も東北沿岸部に弾丸ツアーをされた報告がありました。


FJに関わったきっかけは?

安藤さんから「父親支援をやりたい。笑っている父親を増やしたい」と相談されました。

私が育児雑誌やインターネットで、当時は母親向けの発信しかなかったところに、父親向けと祖父母向けの情報発信をセットで行なっていたんですね。

父親支援の団体は他になかったですし、ちょうどNPO活動が色んなところで活発になってきて、興味のある分野でした。それで、私も会社員をしながら立ち上げから関わることになりました。

もうひとつ、会社だけに縛られない働き方を子どもの頃から模索していたのも大きいです。親が国家公務員で、副業とか絶対ありえなかったんです。そういう働き方は絶対にヤダというのが、子どもの頃からありました。

立ち上げた後、FJとの関わり方は?

どちらかというと、イケイケゴーゴーではない方を担っています。

いつも言っていますけれど、お父さん視点だけになると「夢とロマンだけ」になりがちです。夢・ロマンと生活のギャップ、社会のギャップをどう埋めるのか。

そのなかでも重要なのが、産後・子育て期のスタートです。

夫婦から家族を築いていく第一歩を「家族内だけでなんとかしなさい!」という日本の文化を変えて、子育てのスタートをハッピーにしたい、産後うつ・虐待を減らしたい。

産後うつが日本で少しずつ増えていて、かつ、結婚前・妊娠前の精神疾患が増えている社会背景があります。

イクボスをみながやろうが、私は淡々と産後に取り組んでいます。

社会関係資本についてはどう考えますか?

日本人は、この社会関係資本に何が入ってくるのか、何をどう使ったらいいのかが、よく見えていないと思うんです。

なので、FJを社会関係資本として捉えられていない人が、たぶん今の日本には多いんじゃないのかな。

社会関係資本のなかでも、住民主体型のソーシャルキャピタルはすごい大事です。たとえば、東日本大震災の現地での活動はまさに、“住民主体型ソーシャルキャピタル”にあたります。

もともと私、ソーシャルキャピタルの研究班に協力者として入っていたんですよ。

え!どこの?

国立医療科学院。ネウボラを日本に引っ張って、産後ケアを充実させるなどの活動も、もとはソーシャルキャピタルつながりなんです。

母子保健の拠点がソーシャル・キャピタルの醸成を担う、という視点です。

この研究チームでは、和光で住民の声をあげて助産院をつくりしました。住民の声で社会的資本を作っていく。それをつなぐ、というのをやりました。

ここが本当に難しくて。イチ市民が社会的資本として、きちんと作っていくといったときに、やっぱり、お金が稼げていないんですね。

かといって、お金が稼げないんだったら、他の社会的資本の何が得意で不得意かを客観的に見て動けばいいんですけども、そこができていない。

その社会的資本をコントロールできているところ、イニシアチブがとれているところに、FJの価値があると私は思います。

上下関係ではないんですよね。日本の場合、行政も病院も上に立たれると結構いやなんですよ。このバランスをうまくとっているのがFJかな。そこはすごく思います。

なるほど。新しい視点で勉強になります。

ソーシャルキャピタルとさんざん言われたのですが、まるっきり分からなくて。とにかく、わからない。わからないので、とにかく知っている先生たちに聞きました。

社会関係資本と経済は切り離せないので、そこをどうするか。そこですよね。


私が棒田さんと知り合った十年前、広告代理店の敏腕ディレクターをされていました。

横浜市の事業で「トツキトウカ」の制作を当時されていて、市のこども青少年局に父親育児支援を棒田さんが強プッシュ。その流れで、横浜イクメンスクールの事業を私が担うことになりました。棒田さんが導いてくださったおかげで、足を向けては寝られません。

ちなみに、インタビューをしたのは横浜で、NPO法人こまちぷらす総会の合間でした。こちらの理事もされています。

今回のインタビューは、棒田さんがソーシャルキャピタルの研究協力者だったとは知らなくて油断しました。

勉強するように、と宇沢弘文先生の『社会的共通資本(Social Common Capital)』を勧められました。

格調の高い文章がつづく本です。とりわけ冒頭が素晴らしくて響きます。
(同書2頁より引用)

ゆたかな社会とは、
すべての人々が、その先天的、後天的資質と能力とを十分に生かし、
それぞれのもっている夢とアスピレーションが最大限に実現できるような仕事にたずさわり、
その私的、社会的貢献に相応しい所得を得て、
幸福で、安定的な家庭を営み、
できるだけ多様な社会的接触をもち、
文化的水準の高い一生をおくることができるような社会である。

私がFJメンバーのインタビューを行う目的の一つに、ソーシャルキャピタルの概念整理がありました。

論文が完成したら、棒田先生に見てもらおうと思います。

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