新型ウィルスに関する政府の動きに、モヤモヤします。
考え方を整理したいと思い、時間があったら読もうと思っていたハンナ・アーレントの著作を読みはじました。
しかし、予想どおりの難解な文章。あらためて解説書を読みました。
以下、仲正昌樹『悪と全体主義』(NHK出版)より引用。
平生は政治を他人任せにしている人も、景気が悪化し、社会に不穏な空気が広がると、にわかに政治を語るようになります。こうした状況になったとき、何も考えていない大衆の一人一人が、誰かに何とかしてほしいという切迫した感情を抱くようになると危険です。深く考えることをしない大衆が求めるのは、安易な安心材料や、分かりやすいイデオロギーのようなものです。それが全体主義的な運動へとつながっていったとアーレントは考察しています。
かねて見ようと思いつながら見過ごしていた映画「ハンナ・アーレント」もアマゾンプライムで視聴しました。
タバコを吸うシーンがやたら多くて煙が目にしみましたが、やはり最後のスピーチが圧巻でした。
私は実際、この問題を哲学的に考えました。”思考の嵐”がもたらすのは、知識ではありません。善悪を見分ける能力であり、美醜を見分ける力です。わたしが望むのは、考えることで人間が強くなることです。危機的状況にあっても、考え抜くことで破滅に至らぬよう。ありがとう。
映画の後半は、ユダヤ人大虐殺を指揮したアイヒマンの裁判傍聴記録とその反響が描かれていました。
アイヒマンは実のところ極悪人ではなく、上から命じられたことを忠実に実行する役人であったと喝破するシーンがありました。
今回の新型ウィルス対策で、学校一斉休校を進言した内閣総理大臣補佐官が成していることと同じ構図に見える。
検索したら「官邸のアイヒマン」と呼ばれる人物は他にいるらしい。嗚呼。
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