ダイヤモンド・プリンセス号の感染状況について告発した岩田健太郎氏の動画が話題になり、その行為に賛否の議論がわき起こっています。
検索でひととおり確認しました。エビデンスに基づいた意見交換は読んでいて参考になるのですが、論点をずらして自分の主張を押し通す機会としていたり、ゼロイチの発想で相手を裁く意見が多いと感じました。
これもかれも、政府から明確な方針がでないことが原因なのかもしれません。
『チームが機能するとはどういうことか』の「境界を超えたチーミング」で紹介された、チリのサン・ホセ鉱山崩落事故のケースを思い起こしました。
2010年8月5日、50万トンを越す岩が突然崩れて鉱山の入り口をふさいで33人が生き埋めになったが、70日後に全員が救出された。
以下、P247- 250から引用します。
首都サンティアゴでは、新たに選出されたチリ大統領セバスティアン・ピニェラが、2010年8月6日の朝に、ラウレンセ・ゴルボルネ鉱業相と会っていた。大統領はゴルボルネを事故現場に向かわせるにあたり、明確な指示を与えた。作業員たちを生還させること。費用を惜しまないこと。また、この意向は包み隠すことなく公表された。(中略)
ゴルボルネとピニュラはすぐに、世界各地にいる人々を含む、それぞれの仲間と連絡を取った。大統領曰く、「われわれはいたって謙虚に支援を求めた」。米航空宇宙局(NASA)の医務副部長マイケル・ダンカンは、政府から連絡を受けて承諾し、チリの当局者たちが基本的に次のように述べていたと語った。「その分野のエキスパートを探し出そうーー望みうる最良の情報をくれる相談役にここへ来てもらおう」。(中略)
チリでのこの救出劇をじっくり考えてみると、もしトップダウンの指揮統制アプローチがなされていたら、とうてい成功できなかったことは明らかだ。誰も、どの首脳部でさえも、どうすれば問題を解決できるのかと右往左往するだけだったろう。また、すべての人がしたいと思う行動を何でもするように言われていたら、混乱と悪影響しか生み出さなかったことも明らかだ。
家族も、作業員も、ほかの善意の人々も、つるはしを手に岩へ駆け出したい気持ちを、何度となく抑えなければならなかった。かつてない規模の災害に直面する中で、代わりに求められたのは、協調的なチーミングだった。(中略)ピニュラとゴルボルネはまた、協力を求めるにもやぶさかでなかったし、進んで提供しようとしてくれるのであればどんな組織や国からでも積極的に専門知識を得ようとした。
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